【住宅ローン】政策金利3.5%で住宅ローンはどうなる?
変動金利の返済額と5年・125%ルールを試算

政策金利が3.5%まで上昇し、住宅ローンの変動金利が3.75%程度になった場合、現在の返済額だけで資金計画を立てている世帯は、将来の返済額増加に対応できなくなる可能性があります。

もしも政策金利が3.5%になったら…変動金利の返済額はどのように変化するのか?

この記事のポイント

政策金利3.5%は将来を断定する予測ではなく、金利上昇に備えるための想定シナリオです。変動金利が3.75%まで上昇した場合、4,000万円を35年返済で借りる試算では、毎月返済額が当初の約11万7,600円から、6年目に約14万7,000円、11年目に約18万3,800円へ増える可能性があります。5年ルール・125%ルールは返済額の急増を抑えますが、金利負担そのものを減らす制度ではありません。

※記事はYouTube動画収録用の原稿をもとに要約しています。
そのため、公開後のYouTube動画と内容が異なる部分がございます。


政策金利3.5%は現実にあり得るのか

日本と海外の政策金利を比較して政策金利3.5%の可能性を考える

日本で政策金利が短期間に3.5%まで上昇する可能性は高いとは言えませんが、主要国には3%台の政策金利を採用している国もあります。

日本の政策金利は海外より低い水準

日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促す方針を決定しました。政策金利3.5%に達するには、現在の水準からさらに2.5%の引き上げが必要です。

一方、2026年7月17日時点では、米国の政策金利は3.50~3.75%、英国は3.75%です。国ごとに政策金利の定義や経済状況が異なるため単純比較はできませんが、3%台という数字自体は海外では珍しくありません。

国・地域 中央銀行 政策金利
日本 日本銀行 1.00%程度
米国 連邦準備制度理事会 3.50~3.75%
ユーロ圏 欧州中央銀行 2.40%
英国 イングランド銀行 3.75%
カナダ カナダ銀行 2.25%

※2026年7月17日時点。ユーロ圏は主要リファイナンス・オペ金利を掲載しています。

円安と物価高が利上げ要因になる可能性

日本で円安や輸入物価の上昇が長期化し、物価の安定を損なう状況が続けば、日銀が追加利上げを検討する可能性があります。ただし、金利を急激に引き上げれば、住宅ローン利用者だけでなく、企業の資金調達や景気にも大きな負担がかかります。

そのため、政策金利3.5%は「2030年に必ず到達する金利予測」ではありません。金利上昇に対して家計がどこまで耐えられるかを確認するための、厳しい条件を置いた思考実験として考えます。


  • ・日本の政策金利は2026年7月17日時点で1.0%程度
  • ・主要国には3%台の政策金利を採用している国もある
  • ・政策金利3.5%は将来予測ではなく、金利上昇に備えるための想定シナリオ

政策金利3.5%で住宅ローン金利はどうなるか

政策金利3.5%になった場合の変動金利と固定金利の想定

政策金利と住宅ローン金利は機械的に連動しません。本記事では、家計の金利上昇への耐久力を確認するため、変動金利が3.75%まで上昇するストレスシナリオを設定します。

変動金利3.75%を想定したシナリオ

政策金利引き上げの推移グラフ

政策金利引き上げの推移グラフ

今回の試算では、2026年以降も円安と物価高が続き、日銀が段階的に利上げを実施した結果、2030年に政策金利が3.5%へ達するという仮定を置きます。

このシナリオでは、住宅ローンの変動金利が優遇適用後で3.75%まで上昇すると仮定します。ただし、政策金利と住宅ローン金利が同じ幅、同じ時期に動くとは限りません。

変動金利の見直しには時間差がある

変動金利は、多くの金融機関で年2回見直されます。日銀が政策金利を引き上げても、金融機関の基準金利や実際の適用金利に反映されるまでには時間差が生じることがあります。

そこで、返済額シミュレーションでは、当初1.25%から始まり、2年目2.00%、3年目2.75%、4年目3.50%、5年目以降3.75%という段階的な金利上昇を設定します。

期間 想定する変動金利
1年目 1.25%
2年目 2.00%
3年目 2.75%
4年目 3.50%
5年目以降 3.75%

※実際の住宅ローン金利を予測するものではなく、返済負担を確認するための仮定です。


  • ・政策金利3.5%、変動金利3.75%は返済負担を確認するための想定条件
  • ・政策金利と住宅ローン金利は完全に同時連動するとは限らない
  • ・将来を断定する予測ではなく、厳しい条件で返済能力を確認する試算

4,000万円を借りた場合の返済額シミュレーション

4,000万円の住宅ローンを変動金利で借りた場合の返済額試算

4,000万円を35年返済で借り、変動金利が1.25%から3.75%まで上昇した場合、毎月返済額は当初の約11万7,600円から、11年目には約18万3,800円まで増える試算です。

6年目に毎月返済額が約3万円増加

元利均等返済で5年ルール・125%ルールが適用される条件では、金利が上昇しても、当初5年間の毎月返済額は11万7,635円のままです。

6年目の返済額見直しでは、125%ルールが適用されるため、毎月返済額は14万7,043円になります。当初より2万9,408円増加する計算です。

変動金利任意シナリオ1

6年目から約3万円増加

金利上昇が止まっても11年目に返済額が増える

5年目以降の金利を3.75%のまま据え置いた場合でも、11年目の返済額見直しでは、毎月返済額が18万3,804円まで上昇します。

これは、125%ルールによって6年目の返済額が、本来必要となる約17万6,100円より抑えられるためです。また、この試算では5年目に毎月返済額が利息額を下回る月が生じるため、金融機関の取り扱いによっては未払い利息が発生します。

期間・条件 毎月返済額 当初との差額
当初1~5年目 11万7,635円
6~10年目 14万7,043円 +2万9,408円
11~15年目 18万3,804円 +6万6,169円
16年目以降 18万6,757円 +6万9,122円
5年目(5年・125%ルールなし) 16万7,922円 +5万287円

※借入額4,000万円、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なしの試算です。実際の返済額は金融機関の計算方法や金利適用日などにより異なります。

変動金利VS固定金利 比較シミュレータ はこちらです↓
変動金利VS固定金利 比較シミュレータ
  • ・当初5年間の返済額は月11万7,635円
  • ・6年目は月14万7,043円、11年目は月18万3,804円になる試算
  • ・金利上昇が止まっても、元本の減り方によって返済額が後から増える可能性がある

5年ルール・125%ルールの仕組みと注意点

住宅ローンの5年ルールと125%ルールの仕組みと注意点

5年ルール・125%ルールは毎月返済額の急増を抑える仕組みですが、金利上昇による利息負担を減らす制度ではありません。

5年間返済額を変えない5年ルール

5年ルールとは、元利均等返済の変動金利で適用金利が変わっても、毎月返済額を原則として5年間据え置く仕組みです。

返済額が同じでも、元本と利息の内訳は変わります。金利が上昇すると、毎月返済額に占める利息の割合が増え、元本の減少が遅くなります。

増額を1.25倍までに抑える125%ルール

125%ルールとは、5年後に毎月返済額を見直す際、増額後の返済額を直前の返済額の125%までに抑える仕組みです。

例えば、当初の返済額が11万7,635円の場合、次の5年間の上限は14万7,043円です。本来必要な返済額がこれを上回っても、毎月返済額の増加が抑えられます。

返済負担が将来へ先送りされる可能性

返済額が抑えられた部分は免除されるわけではありません。金利上昇が続くと元本の減少が遅れ、総支払利息が増える可能性があります。

金利上昇幅が大きい場合は、毎月返済額だけでは利息を支払いきれず、未払い利息や最終返済時の残高が発生する可能性もあります。適用条件や最終返済時の取り扱いは、金融機関の商品説明書で確認する必要があります。


  • ・5年ルールは毎月返済額を5年間据え置く仕組み
  • ・125%ルールは返済額の増加を直前の1.25倍までに抑える仕組み
  • ・返済額が抑えられても、元本の減少や利息負担がなくなるわけではない

5年・125%ルールは銀行によって異なる

5年ルールと125%ルールを採用しない住宅ローンの比較

5年ルール・125%ルールの有無は金融機関や住宅ローン商品によって異なるため、変動金利を選ぶ前に返済額の見直し方法を確認する必要があります。

今回確認した4行では5年・125%ルールを不採用

今回確認した金融機関のうち、PayPay銀行、SBI新生銀行、ソニー銀行、SBJ銀行は、住宅ローンに5年ルール・125%ルールを採用していないことを公式サイトで明記しています。

金融機関 5年ルール 125%ルール
PayPay銀行 なし なし
SBI新生銀行 なし なし
ソニー銀行 なし なし
SBJ銀行 なし なし

※2026年7月17日時点。商品内容、返済方式、借入時期などにより取り扱いが異なる可能性があるため、契約前に最新の商品説明書をご確認ください。

非適用では金利見直しの都度返済額が変わる

5年ルール・125%ルールを採用していない住宅ローンでは、適用金利が見直されると、返済額も新しい金利と残存期間に応じて再計算されます。

金利上昇時には返済額が早く増える一方、必要な返済額を先送りしないため、元本の減少が遅れる影響を抑えやすくなります。

適用・非適用は家計の対応力で判断する

毎月返済額が急に上がることを避けたい場合は、5年ルール・125%ルールが家計の緩衝材になります。一方、返済額の変化に対応でき、負担の先送りを避けたい場合は、非適用の商品も選択肢になります。

どちらが一律に有利とは言えません。適用金利だけでなく、返済額の見直し方法、団体信用生命保険、手数料、繰上返済条件なども含めて比較する必要があります。


  • ・5年ルール・125%ルールの有無は金融機関や商品によって異なる
  • ・非適用の商品は金利上昇時に返済額が早く増える
  • ・金利だけでなく返済額の見直し方法まで確認して住宅ローンを選ぶ

変動金利と固定金利はリスクの負担方法で選ぶ

住宅ローンの変動金利と固定金利をリスクの違いから比較する

住宅ローンは「変動金利は得、固定金利は損」と単純に判断するのではなく、将来の金利上昇リスクを負うか、借入時点で適用金利を固定するかで選ぶ必要があります。

変動金利は借主が金利上昇リスクを負う

変動金利は、一般的に借入当初の適用金利が固定金利より低く、低金利が続けば総支払額を抑えられる可能性があります。

一方、将来金利が上昇した場合は、毎月返済額と総支払利息が増えるリスクを借主が負います。家計に十分な余力があり、金利上昇後も返済を続けられることが前提です。

固定金利は将来の返済額を確定できる

全期間固定金利は、借入時点で完済までの適用金利を確定できます。元利均等返済であれば、毎月返済額も原則として完済まで一定です。借入当初の金利は変動金利より高くなる傾向がありますが、将来の金利上昇によって返済額が増える心配はありません。

比較項目 変動金利 全期間固定金利
借入当初の金利 低い傾向 高い傾向
返済額 将来増える可能性 元利均等返済なら原則一定
金利上昇リスク 借主が負担 借入後の返済額には原則反映されない
資金計画 複数金利で試算が必要 長期計画を立てやすい

現在の返済額だけで借入額を決めない

変動金利を選ぶ場合は、現在の金利だけでなく、2%、3%、4%など複数の金利水準で返済額を試算することが重要です。

金利が上昇しても、生活費、教育費、修繕費、老後資金を確保できる借入額に抑える必要があります。固定金利を選ぶ場合も、金利上昇リスクがないという理由だけで、家計の返済余力を超えて借りてよいわけではありません。


  • ・変動金利は当初金利が低い一方、将来の金利上昇リスクを借主が負う
  • ・固定金利は当初金利が高い一方、完済までの返済額を確定できる
  • ・現在の金利だけでなく、複数の金利水準で返済額を確認する